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20151/14

消えゆく食材を守る『味の箱舟』に「カツオ」が乗船!?

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日本全国の各地には、土地固有の食材や伝統を受け継ぐ加工食品が数多く存在しています。
これらは長年その地に住む人たちに愛され、時代を超えて人々の生活を支えてきた“食べる文化財”と言えるでしょう。
しかし、環境の変化や生産者の減少によって、それらの多くが“絶滅”の危機にさらされていること、皆さんご存じでしょうか?
いま、こうした食材・食品を守るために立ち上げられた「味の箱舟」プロジェクトが、世界で広がっています。
あ(キャプチャ引用:「スローフードジャパン|味の箱舟一覧」

 

絶滅危惧食材を守る
「味の箱舟」プロジェクト

 

このプロジェクトでは、“保護するべき食材・食品”についての世界共通のガイドラインを制定。
定められた要件を満たした食材・食品が「味の箱舟」に登録され、その生産やプロモーション活動などが支援されます。
一連の取り組みによって“食べる文化財”の生産や消費を活性化させ、地域固有の食文化を守ることが「味の箱舟」プロジェクトの目的です。

現在、日本では30種類以上の食材・食品が「味の箱舟」に登録されています。
北海道の「八列トウモロコシ」、岩手県の「日本短角種」、長崎県の「雲仙コブタカナ」…などなど。
どれも日本の食べ物ですが、聞きなれないものも多いですね…。
皆さんはいくつご存じでしょうか?
<参照:「日本の味の箱舟(=アルカ)・プレシディオ」スローフードジャパン

 

「潮鰹」ってなに?

昨年の5月、この「味の箱舟」に新たな食材として“カツオ”が登録されました。
「カツオ? 普通にスーパーでも売ってるし、どこが貴重なの?」
…と思ったそこのアナタ。
今回登録されたのは、ただのカツオじゃないんです。
その名も「潮鰹(しおかつお)」。
一体どんな食材なのでしょうか?

「潮鰹」は静岡県西伊豆町の田子地区で作られている伝統的な加工食材。
まるごと塩に漬け込んだカツオを干して作られる干物です。
現在とほぼ同じ製法で「潮鰹」が作られるようになったのは江戸時代からですが、発祥は1300年ほど前までさかのぼります。
奈良時代に田子地区が「堅魚(カツオを干して固めた物)を朝廷に納めていた」という記録が残っていて、これが潮鰹のルーツだと言われています。

<参照:「「伊豆田子節の歴史」西伊豆田子カネサ鰹節商店

 

西伊豆の田子地区は、かつて良質なカツオがたくさん水揚げされて栄えた漁師町。現在も「鰹節の三大名産地」の1つとして知られます。
カツオ漁が盛んだった当時は、船員に対する雇用の証として「潮鰹」を用い、年初めの契約の品として渡されていたそうです。
正月には縁起物として、藁(わら)で飾り付けた「潮鰹(≒しようがつよ→正月魚)」を神棚に供え、三が日が過ぎると神棚からおろして調理し、家族やご近所さんに振る舞われました。
「潮鰹」は、昔から田子地区の人々に親しまれ、彼らの生活や文化に根づいた郷土料理なのです。

しおかつおの歴史   西伊豆しおかつお研究会

<参考・キャプチャ引用:「しおかつおの歴史」西伊豆しおかつお研究会

 

しかし、昭和初期には40軒もあった潮鰹の製造店は、平成に入るとわずか4軒に激減。
その背景にはオイルショックによる燃料高や、200海里問題による漁域の変化など、さまざまな問題があります。
カツオ漁をする人が減れば、それに伴ってカツオを加工する店も減るのは必然。
そして、田子地区の「潮鰹」にまつわる伝統や風習も、どんどん薄れてしまっているのが現状です。

そんな中、この「潮鰹」の伝統を守ろうとする人々がいます。
田子の鰹節生産者のひとりである芹沢安久(せりざわ・やすひさ)さんは、「潮鰹」の製法だけでなく、藁の飾り付け方といった文化的背景も合わせて後世に伝えようと努力されています。

今回、「潮鰹」が「味の箱舟」に登録されたことを受け、昨年10月末にイタリアのトリノで開催された「テッラ・マードレ(世界生産者会議)」へ、芹沢さんはこの「潮鰹」とともに参加されました。
世界中から20万人以上の訪れるこの会場に「潮鰹」は堂々と飾られ、世界中の人々にその存在を印象づけたのです。

 

ひとつの食材を見つめると、その背景にはさまざまな歴史が見えてきます。
日本人の私たちでも見過ごしてしまっている伝統や文化の存在に、もっともっと注目していきたいものです。

 

※この記事は個人の見解であり、所属する企業や団体の公式見解ではありません

 

【食べる政治第8号】
水産資源+サメの粕漬け

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