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【食べる映画。Chapter.02】 『リトル・フォレスト』から見えてきた、「食」が内包するあたたかみについて

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こんにちは。ライターの若林です。

前回わたしは「休日は家に引きこもって、“ポテチ”など不健康なものを食べていることが多い」と書いたのですが、『食べる政治』での執筆の成果がはやくも出たのか、「映画の友」の食べ物がランクアップしました。

それはずばり、「みかん」です。

みかんの甘酸っぱい感じって、なんだかエモい気分を増大させますよね。恋愛映画を観ながら食べると、自身の甘酸っぱい恋愛経験をも思い出させる、みたいな。その甘酸っぱさがまた涙腺を刺激し、涙が出て、さらに水が飲みたくなり、新陳代謝が活発化する…という健康にとってはよい循環が生まれます(ここまでの循環が生まれるかは個人差がありますが)。

いやあ、やはり自然と直接リンクしている食べ物っていいですね。

そして、みかんの皮をむくのも楽しみのひとつです。

慣れてないと皮がバラバラになってしまうことも多いのですが、うまく人型に(中心から皮を5つに分散させる)むけたときは、不思議な達成感が生まれます。なんだか人と触れ合っているようなあたたかみが感じられる…というような。

何が言いたいのか、といえば、食べ物に「人」が感じられたとき、その食べ物には確かな安心が感じられる、ということです。
(「人」の定義違くね?というツッコミはご勘弁をw)

コンビニのおにぎりや松屋の牛めしを食べるとき、私たちは「誰がこれを作った」などという“食べものの原点”を意識するでしょうか。牛めしは生まれたときから牛めしであって、牛さんであった過去などはなかった、と思ってはいないでしょうか。

…いや、さすがにそこまではないですよね(笑)。

しかしながら、食べ物の背景にある人や野菜、動物のことに思いをはせて、「命に感謝する」ということを、私たちは普段忘れていないでしょうか。

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「食べものが生まれる」過程を丹念に描く

たとえば、クイックレストランでひとりビーフカレーを食べるとき、材料はどこの産物だろうか、ということを意識するでしょうか。また、食べ始めるとき、食べ終わったときに、「いただきます」「ごちそうさま」などと口にするでしょうか。

こうした人は私のまわりを見てみても、正直少ないように思います。もちろん、普段の生活で忙しくて、食べ物のことなんて考える暇もないという方も多いでしょうが、なんだかもったいないなあ、と思ってしまうのも事実です。

(私もけっこう忘れることがありますので、自戒をこめています)

そして今回ご紹介するのは、まさに「食に感謝する、食とともに生きる」映画。

現在公開中、五十嵐大介の同名マンガを原作とした、橋本愛主演『リトル・フォレスト』です。

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(キャプチャ引用:『リトル・フォレスト』公式サイト

「夏/秋」「冬/春」と公開が2回に分かれており、現在公開されているのは「冬/春」編です。

サブタイトルから想像のつく方もいると思いますが、この映画ではリトル・フォレスト=“小森”という東北の小さな集落の、春夏秋冬の1年間が描かれます。橋本愛の演じる主人公・いち子の、小森での自給自足の生活が物語の主軸になっています。

まさにキャッチコピーにあるように、“生きるために食べる”“食べるためにつくる”をテーマとした映画です。

いち子は、一度は街へ出て男の人と暮らしてはみたものの、そこでは自分の居場所を見つけられず、自分の生まれ育った“小森”に帰ってきました。そこでは、稲を育て、畑仕事をし、まわりの野山で採った季節の食材から食事を作って食べる毎日をおくります。

詳しいエピソードはネタバレになるので割愛しますが、映画にはなかなかファミレスなどでは見かけない、しかし温かみのある食べものたちが並びます。

たとえば、畑で採ったつくしの佃煮、部屋で栽培したラディッシュの即席漬け、キャベツに卵や砂糖を混ぜ合わせてつくった特製ケーキ…。ひとつひとつの存在感はそこまで強くはないものの、材料から「食べもの」になるプロセスがしっかりと描かれることで、そこにはたしかな「人のあたたかみ」が生まれてきます。

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「自分が変わるきっかけ」としての食

映画は食のほかに、「いち子が次第に変わっていく過程」を映しだします。

自分の本当の居場所はどこなのか、冬から春に変わる過程でいち子は考え、春に自分なりの答えを出すのです。

これも「詳細は劇場で!」と読者のみなさんにはお願いしますが、その選択はとても自然で、作為性などはまったく介在していません。映画というかたちで、彼女と長い時間をともにした私たち観客には、彼女の行動に心洗われる思いがします。

種をまいて、育てて、食べるという生活のサイクル。それはごく自然なことだけれども、その過程で確かに彼女は変わってきたのだな、と。

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「食」は私たちの生活にとって、かけがえのない位置を占めています。

誰かが自分のために作ってくれた料理は、それが平凡なメニューだとしても、一生の思い出になることも少なくありません。

心のこもった一皿がきっかけとなって、人が「これまでの自分」から変化するということも、この世界ではときどき起きていることでしょう。

 

「食」からあたたかみを意識する機会の少ない方には、少しだけ立ち止まって、「食」を見なおしてみてほしい。

『リトル・フォレスト』は、その確かな足がかりとなる一作です。

それでは、今回はこのあたりで、また次回お会いしましょう。

wakabayashi
※この記事は個人の見解であり、所属する企業や団体の公式見解ではありません

【食べる政治第8号】
水産資源+サメの粕漬け

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